artzone

Archive

未来作の生まれる夜~過去作から現在作をもとに探る我らの未来作~

2013.11/9

  • 1384029_526674504093709_1285103881_n
  • DSC_0377_hosei のコピー
  • DSC_0386_hosei のコピー
  • DSC_0388_hosei のコピー
  • DSC_0391_hosei のコピー

展覧会概要

タイトル: 未来作の生まれる夜~過去作から現在作をもとに探る我らの未来作~

会期: 2013.11/9

時間: 22:30〜翌5:00

会場: ARTZONE 2F

企画: 山下拓也展「弱弱様」関連イベント

「鮮度」をめぐる希望と逡巡


京都のまちなかにあるこのスペースで夜通し繰り広げられたトーク・イベントは、良かれ悪しかれ等身大のアーティストの姿を反映していた。各々のプレゼンを出発点に、過去作から現在、そして未来の展望までを語るというこのイベントのテーマは、新たな展覧会企画の構想というかたちで、それなりのオチを得たように思う。さて、都合8時間に渡ったトークのなかでは、他にも様々な話題が飛び出した。なかでも、「鮮度」という言葉を中心として交錯した議論をまとめることができるように思う。
作品の「鮮度」という言葉を最初に口にしたのは、山下拓也だったはずだ。「できあがったときがMAXで、だんだん鮮度は下がっていく」。金光男も、少し異なるかたちで、このように言っていたと思う。ろうの上にシルクスクリーンでイメージを刷ったその瞬間が、一番いい、と。それが作品の持つ魅力と不可分である、と各々は暗黙に了解していたように思う。けれども、当然のことながら、ベルカンプのトラップが鬣の眼を捉えて離さないように、あるいは、数十年の時を経て再び姿を現した靉嘔の巨大な初期作品が金に感動を与えたように、必ずしもその作品の鮮度が、作り手の考える鮮度と同じ時間軸で衰えていくとは限らない。こうした議論を通して、どちらかといえば作品そのものの鮮度に触れてきた身として、そうした並行する複数の時間軸の存在に、素朴な実感がようやく芽生えた気がした。
終盤に、山下がオプ・アートへの関心を告白したことは、意外であったと同時に、まったく必然であるようにさえ感じられた。なぜなら、オプ・アートは、それを目にするたびにある運動が立ち現れるもの、言うなれば、知覚の次元で常に鮮度が現出しなおすもの、と言えるからだ。小宮太郎の、空間の構造を反転させ、反復させることによってフェノメナルな鏡面をつくりだすインスタレーションは、その意味でオプ・アートと同じ原理で駆動しているだろう。一方で、そうした鮮度に寄り添い続ける作り方から次第に関心が逸れてきている、というふうにも感じられるのだった。場の持つ物語と作品との関係性についての実験を始めた小宮や、観念的で謎めいた言葉やイメージを扱うようになった、神馬啓佑にとりわけ。むしろ、「鮮度」や「オプ」なものといったことをどのように乗り越えるか。そこもまた重要な関心であったと思う。
鮮度の追求とそこからの離反、という二者の間で揺れるその様相が、このイベントの提示した大きなものの一つではなかっただろうか。もちろん、こうしたジレンマがごく普遍的な問題ではあることには、留意しておきたい。しかし、それと同時に、彼らがいまある種の切実さを持って「鮮度」を問題にしていて、そしてそれを乗り越えようとしていることには、再考の余地がある。そう思わされる一晩だった。


文=伊藤良平(京都大学大学院 人間・環境学研究科 修士課程 在籍)

 

▼概要

タイトル: 未来作の生まれる夜~過去作から現在作をもとに探る我らの未来作~
日時: 2013年11月9日 22時30分〜
場所: ARTZONE2F/入場無料
トークメンバー: 小宮太郎 × 神馬啓佑 × 金 光男 × 山下拓也 × 鬣 恒太郎
聞き手: 金 成基


ARTZONEにて開催予定の展覧会/山下拓也展『弱弱様』の関連トークイベントです。

こんにちは、山下拓也です。今回トークして頂く方々は1年半ほど前にアンテルームプロジェクトで展示をご一緒させていただいた皆様です。その展覧会以降、僕自身も皆さんの作品をよく観察し、ご本人の人柄もよく知る関係を築けたのではないかと思います。
今回のトークイベントでは、アンテルームでの展示を含めた過去作、現在制作中の作品等について、あらためてお話しをお聞きしたいと思います。そして、それらのお話を素材に、未来の作品について思考を巡らせるイベントになればと思います。良い作品が作りたい、まだ見ぬ作品と出会いたい。そのような純粋な気持ちを根源に今回のイベントを企画いたしました。近い距離で制作する同士の成長する姿は、当人の制作にも必ず還元されるものがあると信じて、今回のイベントに望む次第であります。そして最後に、今回のイベントの聞き手は、金成基さんです11月2日よりホテルアンテルーム京都で開催中の「ATPAPER.EXHIBITION 09」展で素敵なテキストを執筆されています。その文章力の豊かさに一目惚れし、今回、金成基さんにぜひ! とお願いいたしました。
また違ったよく知る間柄からの視点もお楽しみに!