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Exhibition & Event

記述の技術 Art of Description

2016.5.21(土)~6.12(日)

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展覧会概要

タイトル: 記述の技術 Art of Description

会期: 2016.5.21(土)~6.12(日)

時間: 平日 13:00~20:00/土日祝 12:30~20:00 *会期中無休

会場: ARTZONE

企画: 京都造形芸術大学アートプロデュース学科

《展覧会趣旨》


かつて言葉や絵画によって行われてきた出来事の記録は、ある時から映画や写真などの映像メディアが担うようになってきました。それは劇映画や芸術写真と対立するものとしてドキュメンタリーというジャンルが成立したことに端的に現れています。しかし、映像の記録性を素朴に信じることが困難になった現在、ドキュメンタリーは、かつてのようにひとつのジャンルであることをやめ、より多面的で複雑なものになってきています。写真や映画、あるいは現代美術などの諸領域を横断し、政治と美学、現実と表象、真実と虚構といった二元論を積極的に交差させ撹乱する昨今のドキュメンタリー的実践。その傾向は、アーカイヴ形式を援用した作品群の増加という、昨今の潮流と無関係ではないでしょう。

本展の出展作家である小森はるか+瀬尾夏美、佐々木友輔、髙橋耕平は、こうした傾向を自覚的かつ先鋭的に実践しています。映像に加えて、オーラル・ヒストリー、ドローイング、文学作品、楽譜など様々な媒体を複雑に構成することによって、現実的な事象や歴史へのアプローチを試みる彼/彼女たちの作品では、かつてドキュメンタリーが依拠していた対象への窃視的観察という手法やカメラによる現実の客観的描写といった通念は、もはや意味をなさなくなっています。

東日本大震災以後に東北に移住し、被災地の様子を映像やドローイングによって描いてきた小森はるか+瀬尾夏美は、そこで培ってきた技術を「終戦」というテーマに援用した新作を展示します。佐々木友輔は、1910年に長塚節が執筆した長編小説『土』を着想源にして、搖動する手持ちカメラによって場所論を記述しようとする長編作品《土瀝青 asphalt》(2013年)を、髙橋耕平は、観菩提寺の御詠歌「松風」を継承する村人たちを取材した映像作品と唱歌譜によって構成した《となえたてまつる》(2015年)、ならびに、京都のアートウォッチャー「原田さん」の映像と彼が語る半生を綴った年表からなる《HARADA-san》(2013年)を展示します。

彼/彼女たちは、映像の記録性がもはや自明ではなくなったドキュメンタリー以後に、それでもなお、ドキュメンタリー的実践を行おうとしていると言えるでしょう。そこには、出来事や経験を記述するための新たな方法が様々なかたちで内包されているはずです。出展作品を通じて、それぞれの作品の独自性が浮かび上がってくるとともに、今日における〈記述の技術〉の奥行きと広がりが明らかになることでしょう。

 

 

《企画》


林田新(京都造形芸術大学専任講師)、櫻井拓(編集者)

 

 

《出展作家略歴》


小森はるか|KOMORI Haruka

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映像作家。1989年静岡県生まれ。東京芸術大学大学院美術学部先端芸術表現科修了。映画美学校フィクション科修了。土地に暮らす人々の日常や風景の記録から映画、映像作品を制作している。2012年より、瀬尾夏美と共に岩手県陸前高田市に拠点を移す。2015年仙台市で、土地との協同を通して記録活動を行う一般社団法人NOOKを立ち上げる。主な作品に「the place named」(恵比寿映像祭他、2012年)、「あいだのことば」(せんだいメディアテーク、2012年)、「息の跡」(山形ドキュメンタリー映画祭他、2015年)など。現在は瀬尾とのユニットで、巡回展「波のした、土のうえ」を全国各地で開催している。

 

瀬尾夏美|SEO Natsumi

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画家、作家。1988年東京都生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻修了。土地の人びとのことばと風景の記録を考えながら、文章や絵をつくっている。2012年より小森はるかとともに岩手県陸前高田市に拠点を移す。地元写真館に勤務しながら、まちを歩き、日々制作に励む。2015年仙台市で、土地との協同を通して記録活動を行う一般社団法人NOOKを立ち上げる。主な展覧会に「VOCA2015」(上野の森美術館、東京、2015年)「クリテリオム91」(水戸芸術館、茨城、2015年)など。主な著作に「花の寝床/3つの視点」(『ミルフィユ05』所収、赤々舎、2013年)。現在は小森とのユニットで、巡回展「波のした、土のうえ」を全国各地で開催している。

 

佐々木友輔|SASAKI Yusuke

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映像作家、企画者。1985年兵庫県生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。近年の上映・展示に「反戦 来るべき戦争に抗うために」(SNOW Contemporary、東京、2014年)、「第7回恵比寿映像祭 惑星で会いましょう」(恵比寿ガーデンプレイス、東京、2015年)、「佐々木友輔 新作上映[Epoch]」(新宿眼科画廊、東京、2015年)、主な著作に『floating view――“郊外”からうまれるアート』(編著、トポフィル、2011年)、『土瀝青――場所が揺らす映画』(編著、トポフィル、2014年)、「三脚とは何だったのか――映画・映像入門書の二〇世紀」(『ビジュアル・コミュニケーション――動画時代の文化批評』所収、南雲堂、2015年)がある。
http://qspds996.com/sasakiyusuke/

 

髙橋耕平|TAKAHASHI Kohei

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美術家。1977年京都府生まれ。京都精華大学大学院芸術研究科修了。近年の展覧会に「社会の芸術フォーラム展『躊躇』」(HIGURE 17-15 cas、東京、2015年)、「秘仏十一面観音像開帳関連企画『kiseki-キセキ-』」(観菩提寺正月堂 客殿、三重2015年)「ほんとの うえの ツクリゴト」(旧本多忠次邸、愛知、2015年)、「still moving」(元崇仁小学校、京都、2015年)、「史と詩と私と」(京都芸術センター、京都、2014年)、「HARADA-san」(Gallery PARC、京都、2013年)、主な上映・イベントに「なぜ「私」が撮るのか」(旧所沢市立第2学校給食センター、埼玉、2015年)、「発話する主体と転移をめぐって」(blanClass、神奈川、2014年)がある。
http://www.takahashi-kohei.jp/

 

《関連イベント》


◎アーティストトーク
日時:5月21日(土)18:00〜20:00
場所:MEDIA SHOP
入場料:500円(京都造形芸術大学の生徒は学生証提示で無料)

 

◎星野太ゲストトーク「芸術作品を、言葉でいかに記述するか」
日時:612日(日)17:0019:00
会場:MEDIA SHOP
入場料:500円 予約不要


 


「記述の技術 Art of Description」展のクロージングイベントとして、美学/表象文化論がご専門の星野太さんをお迎えし、ゲストトークを開催します。今回の展覧会自体や各出展作品への批評、企画者と学生スタッフによる作品記述への講評、さらには星野さん自身が芸術作品を記述するときに意識されている事柄について、映像作品や写真作品などを例にお話していただきます。


紹介文、ステイトメント、批評など、作品についての言葉による記述は、どのような立場でアートに関わるのであれ、さまざまな場面で日常的に要請されています。しかしその一方で、どのように記述すれば、書きたいことや伝えたいことを読み手に的確に伝えることができるかの「技術」は、必ずしもオープンに共有されているとは言えません。星野さんの視点を導きとして、言葉による作品記述の技術について、来場者の方と一緒に議論する場になればと思っております。


今回の展覧会の特徴の一つは、出展作品についての、企画者と学生スタッフによる記述《Description》の展示です。各作品についてそれぞれ3種類の記述が展示されていますが、そのような複眼性でさえ、作品に向けられる無数のまなざしの一片に過ぎません。出展作家が出来事や経験を、映像や言葉、ドローイングなど、それぞれの方法で記述したように、執筆者は各々の言葉で作品を記述しました。トークの後半では、星野さんからの講評に、執筆者とのやり取りも交えながら、出展作品についての記述の可能性を検討できればと思います。「記述の技術 Art of Description」展が投げかけた視点に、星野さんに外部から批評的に介入していただくことで、問いをより開かれた形で提起し、展覧会の最終日を締めくくります。ぜひご来場ください。



星野太(ほしの・ふとし)


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1983年生まれ。美学、表象文化論。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。現在、金沢美術工芸大学美術工芸学部講師。単著に『奥村雄樹――ジュン・ヤン』(美学出版、2013年)、共著に『地域アート――美学/制度/日本』(藤田直哉編、堀之内出版、2016年)、『キュレーションの現在――アートが「世界」を問い直す』(フィルムアート社編、フィルムアート社、2015年)、『コンテンポラリー・アート・セオリー』(筒井宏樹編、イオスアートブックス、2013年)など。

 

《展覧会スタッフ》


山崎秀隆、市下純子、島田真親(アートプロデュース学科3回生)
河野彩子、呉屋直、齋藤智美、森脇盟子、山崎汐莉香(同学科2回生)